ネット連句会

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連句チュートリアル

連句は前の句に付ける、また付けるを繰り返す感性のキャッチボール。あなたの一句でどう展開するか 予測できないというスリルがあります。この緊張感を味わいましょう。初心者のあなただからこそ意外な 展開を呼び、連句をますます楽しくできるのです。 難しい作法は気にせず、最低限のルールさえ身につければ十分。ここを読んだらインターネット連句会へGO!

十八韻 順候式 雪月花 ルール表
半  歌  仙  構  成  表
 歌   仙   式   目 
歌 仙 の 標 準 的 構 成 表

基本的な連句の世界を、作例から学んでいきましょう。

 ・前句付け
 ・三つ物
 ・恋の座(恋の句)の連句

■ 前句付け


連句で一番短く基本的な形式。前の句(五七五)に(七七)の短句を付けるか、または短句(七七)の前の句に長句(五七五)をつけます。

■ 三つ物


三つ物とは前句に次の句が付き三番目の付け句で終わらせてしまうという、前句付けの次に短い連句です。

◇ 三つ物の付け句の例1

A  金の世の中こころの時代    冬男
B まぶしいな銀河鉄道ひた走る   治男
C  パオの家では母子が眠る 朝子


(解説)
Aの「金の世の中こころの時代」冬男 という句に対して、こころの時代を受け、宮沢賢治の世界へ引き込みます。メルヘン の世界です。そしてCはメルヘンの世界から銀河の良く見える大草原のモンゴルへ飛びパオの中で母子が眠っている−−と今 の世界、子供の世界へ引き戻されました。

◇ 三つ物の付け句の例2
季語の入った三つ物の例を上げます。

A(発句・三春・地理)   百済路や今とし匂う春の土    冬男
B(脇・三春・天象) チマチョゴリ消ゆ陽炎の中   章郎
C(第三・三春・植物、動物)ひらひらと菜の花化して蝶になり 澄子


A 立句(発句)が韓国の春の百済路を詠っています。
Bはそれを受けて韓国の「風俗」に属する民族衣装チマチョゴリ姿の女性が陽炎(春の天文の季語)の中へ消えてゆくという ほんのりとした句が付きました。
Cは俳句の季語にある「菜の花化して蝶になる」という季語をすっかり句の中に入れ前句の陽炎の中に消えてゆく女性を蝶に 見立てたのです──連想の妙です。

◇ 三つ物の付け句の例3
無常の句からの展開

A(雑・無常)  昼会いし人夜は亡き骸に  冬男
B(雑) 切々と企業戦士の妻の手記
C(三夏・人事) 雫こぼして吊忍鳴る


Aは昼会ったばかりの人の訃報が夜届いたという人間の儚さが詠まれました。
B、その亡くなった人は仕事の鬼の企業戦士だったので、その妻が夫の手記を本にするとか。
C、AとBという前にある重たい雰囲気の句から逃げ出して、折から家の軒では、「吊忍」(つりしのぶ)=夏の季語=が 水をたっぷりと含んでぽたぽたと落ちていて風鈴がちりんと鳴って──と余情が出されました。

■ 恋の座(恋の句)の連句


◇ 恋の座の連句の例1
両吟歌仙「茶の花や」の巻から

A 校庭にひっきりなしに銀杏散り  水青(作家)
B 新任教師詩のうまき人 冬男 恋の呼出
C たちまちに恋の噂がひろがりて 水青 恋
D がんこ親爺がすっとんでくる 冬男 恋離れ
E 暴走族蜘蛛の子と散る町の角 水青 転じ

A、秋の深まった校庭に銀杏落葉が降りしきっています。
B、その学校へ詩のうまい先生が転勤して来ました。
C、その先生と生徒か別の先生が恋しているという噂が広がります。
D、新任教師は一人娘だったので恋の噂を聞きつけた頑固親爺が娘のところにすっとんで来ました。
E、前句の「すっとぶ」に合わせて暴走族が出てきて場面は都会へと転じられます。

なお、両吟の相手、水青こと福田清人は児童文学者で作家です。

『現代の連句−実作ノート』より転載。

◇ 恋の座の連句の例2

両吟歌仙「梅雨の中」の巻より

A  飛行機雲が裂きし蒼天      桐雨  叙景
B ひまわりの咲ききって人待つごとし 冬男 恋の呼び出し
C 髪を洗って夕化粧する 桐雨 恋
D 新婚の愛のサインは色シーツ 冬男 恋
E ちょとまどろむ通勤電車 桐雨 恋離れ
F 新聞もタブロイド版よく売れて 冬男 転じ

A、青空を切り裂くように飛行機雲が伸びています。
B、それは真夏で、向日葵の大輪がまるで恋人を待つように開いています。
C、家の中では汗ばんだ髪を洗って(髪洗うは夏の季語)、夕方のお化粧をする女がいます。
D、それは新婚夫婦でした。今夜は「あなたが欲しい」というサインにベッドのシーツの色が決められています。暑い暑い。
E、昨夜の愛の激しさで、通勤電車の中でつい居眠りを。
F、車内吊りのある電車の中では「夕刊フジ」がよく読まれると転じています。

なお、両吟の相手の桐雨こと暉峻康隆は西鶴研究の第一人者で、連句の達人。

『連句のすすめ』より転載。