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4月の本部句会
日時:平成 20 年4月19日午後 1時30 分
場所:東京文化会館
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花冷え
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主 宰 吟
花冷えの空も花冷え行止まる 宇咲 冬男
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<特選句>
花冷えと言う静けさに浸りけり 福安 弘子
〔主宰評〕
実に「花冷え」の捉え方がうまい。お花見で さんざめいていた各地の名所も、ある日突然、寒冷前線に見舞われて ,万朶 の花もちじみ上がる。当然、、賑わった花の下には人影も見当たらない。日本人の花好きは、祭り好きに通う。花より団子の乱痴気さわぎ、ところ が、ふいの花冷えで ,人の心はしゅんとする。こんな時こそ、本当に独りで花を賞でられる。
<静けさに浸りけり >の措辞は、どんな表現よりも、花を愛する作者の風雅の心が伝わってくる。
<秀逸句>
花冷えや卍どもえの街灯り 仲澤 輝子
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主宰評一寒冷前線の通過で都会は「花冷え」。しかし、時は春も四月 。街の灯は明るい。この句のよ うに卍どもえの街灯りの中で、花冷えをとらえられたのはすごい。特選候補。
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花冷えや土を起せば匂いける 青木つね子
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主宰評一この句、まさに時候の作品。「耕し」といわず <土を起せば >と用意周到。花冷えだから「土の匂い」が感じられた。
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花冷えや季節の針は蛇行せり 鈴木 哲也
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主宰評一晩春になってもまだ春は定まらない。それが時候というものだ。きのう、満開の花に酔ったのに、朝から冷たい花の雨、または春北風に見舞われる。それを <季節の針は蛇行せり >と云い止め、突然の花冷えに見舞われた人間のあわてようを表現した。
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白き日曜日
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主 宰 吟
汚れやすき人等に白き日曜日 宇咲 冬男
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<特選句>
嬰の眼の碧めり白き日曜日 栗原 英甫
〔主宰評〕
教会に抱かれてきた嬰は外人さん。白き日曜日の礼拝に嬰の眼が碧く見えたーと。これ白と碧との対比。これ以上のことを描くと、白き日曜日はややこし くなる。
<秀逸句>
邪心棲む胸あずく白衣の主日 小西 淑
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主宰評一破調だが、“邪心”と“白衣の主日”季語がうまくかみ合っている。
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白き日曜日人それぞれの色を持ち 高尾秀四郎
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主宰評一この句はクリスチャンとして詠んでいない。 白い日曜日も、他宗の人は自由に春の色を着こなしている とー 。視点がよろしい。
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ホスピスの白き日曜耀えり 近藤 美穂
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主宰評一末期ガン患者のはいるホスピスでも、白き日曜日はやってくる。復活しようもない。でも白い日曜日が耀かになるーと。悲痛な句。
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おさげ髪黙して白き日曜日 野口きみ子
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主宰評一「洗礼を受けたばかりの少女の教会行き。復活祭のはなやかさでなく、その後の第一日曜日の静けさ。少女は戸惑っている。
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