『あした季寄せ-連句必携-』
 “あした”創立三十五周年記念
2003年(平成15年)刊。


 元来、歳時記・季寄せは、連句の雑(無季の句)に対して季語の付合の手引として編まれて来たものですが、現在あまた出版されている歳時記・季寄せは、俳句創作の利便性を追求して編集され、一つの季語の中にその季語に関連した傍題が一括して集録され、俳句の創作には便利になったものの、時候・天文・地理・人事・宗教・動物・植物の区分を重んずる連句の付合には適応しにくくなって来ております。  連句の創作活動が普及し活性化しつつある現在、現代連句の実践を若い世代に伝承するためにも一冊で、しかも手軽に俳句と連句創作の手引きとなる季寄せの編纂を思い立ち“あした”創立三十五周年の記念事業として残すことにいたしました。  そこで本書は、連句の創作に当たって季戻りのないよう春・夏・秋・冬の各季節を、三(通季)・初・仲・晩の四部門に分けたうえで、各部門ごとに時候・天文・地理・人事・宗教・動物・植物の季語を明確に分類して配列すると共に連句に使えるよう、との方針に基づいて現在廃れつつある季語や古典的季語も出来得る限り多く採用し、連句の付合の多様な変化に十分対応できるように配慮致しました。
─本書まえがきより─