歌曲集『うつろい』
1984年(昭和59年)刊。


  音楽と俳句
作曲家 井上清湖が、宇咲冬男の句に曲を付けました。 音楽と俳句の出会いです。
 句集『乾坤』(けんこん)から
四季の4句に曲を付けた『うつろい』と
韓國旅吟の『まほろば』4句の二部構成。


 □ う つ ろ い
一句集『乾坤』より一 宇咲冬男

 新春
  雪降り出ず初夢のあとかたもなく

 夏 印度・ブッタガヤ
  うつし身や坐して聖地の草いきれ

 
  刻ひしと秋蝉は身をしぼり鳴く

 
  山国や冬のとびらに積む落葉

 □ ま ほ ろ ば
一句集『乾坤』韓國旅吟より一 宇咲冬男

  百済路や今とし匂う春の土

 慶州・仏国寺
  春の水生きとし生けるものとして

  四温賜る新羅の古都の釈迦拝み

 吐含山
  灘は霞む石窟庵に釈迦籠められて